自然薬や健康食品の学術論文|香川県高松市の「漢方薬局・元気通り」
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【1】
Effect of garlic and garlic preparations on physiological and psychological stress in mice.Ushijima,M.et al.Phytother.Res 11:226-230
(マウスでの生理的及び心理的ストレス下のニンニクとニンニク製剤の効果)
要約
生ニンニクジュース、加熱処理ニンニクエキス、乾燥ニンニク末及び熟成ニンニク抽出液(AGE)といった様々をニンニク製剤の生理的及び心理的ストレスに対する効果が、マウスにおける強制水泳負荷、トレッドミル強制走行負荷、拘束ストレス負荷、冷水負荷回復試験の4種の試験方法により研究されている。
生ニンニクジュースは強制水泳負荷試験では低用量投与においてのみ有効性を示し、高用量投与では反対に低下させた。
加熱処理ニンニクエキス及び加工ニンニク末は抗ストレス作用を示さなかった。
-方、AGEでは全てのストレス試験において有効性を示した。
【2】
Dietary Supplementation with Aged Garlic Extract Reduces Plasma and Urine Concentrations of 8-Iso-Prostaglandin F2αin Smoking and Nonsmoking Menand Women.Dillon,S.A.et al.J.Nutr.132,168-171,2002.
(熟成ニンニク抽出液の摂取は喫煙の有無と男女の性差に問わらず血漿中と尿中の8‐イソ‐プロスタグランジンF2αの濃厚を下げる)
要約
血祭中および尿中のF2-isoprostane量は、生体の酸化ストレスに関する高感度で特異的な指標である。
ニンニク成分のいくつかは抗酸化能を持っていることが知られていることから、熟成ニンニク抽出液摂取が血漿中および尿中の8-iso-PGF2αの濃度に与える影響を調べた。
喫煙は酸化ストレスを増加させるとされているので、この研究は喫煙者と非喫煙者の両方について行われた。
結果を被験者の年齢と性別を揃えて見てみると、喫煙者の血漿中および尿中の8-iso-PGF2α濃度は非喫煙者よりそれぞれ58%および85%高かった。
AGEの14日間摂取により非喫煙者の血祭中および尿中の8-iso-PGF2α濃度はそれぞれ29%および37%減少し、喫煙者でも35%および48%減少した。
AGE摂取停止14日後の血渠中および尿中の8-iso-PGF2α濃度は、それぞれAGE摂取前の値と違いはなかった。
このように、AGEの摂取は人の酸化ストレスの低下のために有用と思われる。
【3】
Garlic Reduces Dementia and Heart Disease Risk. Borek, C. J. Nutr, 136: 810S-812S, 2006.
(総説:ニンニクは認知症や心臓病の発病リスクを減少させる)
要約
心血管疾患の危険因子である高コレステロール、高ホモシステイン、高血圧ならびに炎症は、アルツハイマー病(AD)のような一般的な認知症のリスクを高めることが知られている。
ニンニク、とりわけ抗酸化物質が 豊富な熟成ニンニク抽出液(AGEまたはキョーリック)が、これらの疾患のリスクを下げるのに役立つ可能性があることが多くの研究でわかってきた。
SODやカタラーゼ、グルタチオン・ペルオキシダーゼ(抗酸化酵素) の活性化、HMG-CoA還元酵素の阻害作用やスタチンとの相加作用によるコレステロール合成の低下、LDLの酸化抑制、血小板凝集抑制、プラーク形成の抑制。
さらにホモシステインの減少、血圧や微小循環の改善、 β-アミロイドの神経毒性やアポトーシスからのニューロン保護作用など、多くのエビデンスが、心血管疾患や脳血管疾患を予防し、認知症やADの発病リスクを低下させるといったAGEの有用性を示唆している。
【4】
Prevention of psychological stress-induced immune suppression by aged garlic extract. Kyo, E. et al. Phytomedicine 6(5) ,325-330,1999.
(Aged Garlic Extractによる心理的ストレスに起因した免疫抑制の予防)
要約
我々は、コミュニケーション・ボックスを用いた心理的ストレスに起因する免疫機能傷害に関して、Aged Garlic Extract (AGE)の効果を検討した。
4日間の心理的ストレスを与えることにより、非ストレスマウス (正常) と比較して、脾臓重量と脾臓細胞数の減少が、ストレス負荷マウスにおいて観察された。
AGEは、 脾臓重量と脾臓細胞数の減少を有意に予防した。次に、AGEは、心理的ストレス負荷による脾臓細胞中の抗SRBC抗体産生細胞数と、血清中の抗SRBC抗体価の低下を有意に予防した。
さらに、非ストレスマ ウスと比較して、NK活性の低下がストレス負荷マウスにおいて観察されたが、AGE投与群のNK活性は非ストレスマウスのNK活性とほぼ同じであった。
これらの結果は、心理的ストレス負荷が免疫機能の量的かつ質的な傷害をもたらすことを示し、AGEがそれらの傷害の予防に役立つ可能性を示した。
【5】
A Double Blind Crossover Study in Moderately Hypercholesterolemic Men Comparing the Effect of Aged Garlic Extract and Placebo Administration on Blood Lipids and Platelet Function M. Steiner, et al. Am. J. Clin. Nutr. 64,866-870, 1996.
(中等度高コレステロール症患者における二重盲検クロスオーバー試験 – 血清脂質および血小板機能に及ぼす熟成ニンニク抽出液とプラセボ薬の作用比較 – )
要約
中等度高コレステロール症(血清コレステロール値が220から290mg/dlの間)の男性41人を対象にした、AGEとプラセボ薬の効果を比較した二重盲検クロスオーバー臨床試験(4週間の観察期間の後、被験者は1日当たり7.2gの熟成ニンニク抽出液あるいはプラセボ薬を6ヶ月間服用した後、他方の薬剤をさらに4ヶ月間服用)において、AGE服用に伴う総コレステロールとLDLコレステロールの低下が認められた。無作為に選択した被験者の一部おいて、AGEによる血小板の接着能抑制および軽度の血小板凝集能の抑制とリポタンパクの酸化抑制の傾向が認められた。
【6】
Aged garlic extract delays the appearance of infarct area in a cerebral ischemia model, an effect likely conditioned by the cellular antioxidant systems P, Aguilera et al. Phytomedicine Epub ahead of print, 2009.
(熟成ニンニク抽出液は、おそらく細胞性の抗酸化系による条件効果で、脳虚血モデルにおける梗塞巣の発現を 遅らせる)
要約
我々は、脳虚血モデルラットを用いてAGEの虚血性脳疾患に対する保護メカニズムを検討した。ラットに2時間の中大脳動脈閉塞術(MCAO)を施した。AGEは再灌流開始(OR)30分前,開始時, 1時間後に腹腔内投与した。OR時に投与したとき、AGEは再灌流2時間後の梗塞巣を有意に縮小した。そしてOR処 置をして1~3時間後に複数回投与したとき、AGEは梗塞巣を縮小させなかった。またOR直後にAGEを 投与した場合、ニトロチロシン増加抑制や各種抗酸化酵素活性の低下抑制が見られたことから、AGEは虚血/再灌流により誘起される神経障害を遅らせる可能性が示唆された。以上のことから、AGEの神経保護効果は、再灌流により生じるフリーラジカルバーストの制御や内因性抗酸化システムの保持、他の病態生理学的な過程を遅らせることと関係があるものと考えられる。
【7】
Anti-allergic effects of aged garlic extract. Kyo E. et al. Phytomedicine 4 (4) ,335-340,1997.
(AGEの抗アレルギー作用)
要約
in vitroヒスタミン遊離系において、AGEは、マウス抗TNPモノクローナル抗体とTNP-BSAハプテンキャリアー複合体によるマウス好塩基性細胞株RBL-2H3からの抗原特異的なヒスタミン遊離に対して、抑制効果を示した。そして、in vivo IgE仲介皮膚反応系において、AGEは、抗TNP抗体IgE腹水を静脈内投与したマウスの耳にピクリルクロライドを塗布することにより誘発される抗原特異的な耳腫脹を25 ~ 45%減少させた。さらに、遅延型反応系において、AGEは、7日前にピクリルクロライドで感作したマウスの耳への2回目の感作により誘発した抗原特異的な耳腫脹を45 ~ 55%抑制させた。以上の結果より、AGEは、直接あるいは間接的に、炎症を含むアレルギーのカスケード反応において中心的役割を担う肥満細胞、好塩基球そして活性化T細胞の機能を修飾することを示唆している。
【8】
Aged Garlic Extract Prevents a Decline of NK Cell Number and Activity in Patients with Advanced Cancer. Ishikawa H. et al. J. Nutr. 136:816S-820S, March 2006.
(AGEは、進行がん患者のNK細胞数とNK活性の低下を防ぐ)
要約
被験者は、手術不可能な大腸がん・肝臓がん・膵臓がんの患者とした。ランダム二重盲験式試験を採用して、AGEは1つのグループに、そして、プラセボ(偽薬)はもう一方のグループに、6ヶ月間与えられました。主要評価項目は、Functional Assessment of Cancer Therapy (FACT:がん治療の機能的評価)に基づいたQOL 質問表でした。第二の評価項目は、AGE服用前後における、NK活性と唾液コルチゾール濃度の変化とした。 試験参加の案内を受けた55名の患者の中で、50名(91%)が登録に同意した。同意した患者の構成は、肝がん42名(84%)、膵がん7名(14%)、大腸がん1名(2%)でした。服薬遵守は、AGEとプラセボの両グループ において、比較的良かった。QOL質問表において、両グループの差異は観察されなかったものの、AGEグループにおけるNK細胞数とNK活性が、有意に増加しました。いかなる副作用も、両グループで観察されなかった。
【9】
Aged Garlic Extract Suppresses Lipid Peroxidation Induced By β-Amyloid in PC12 Cells. Griffin, B. et al. In Vitro Cell Dev. Biol. Anim., 36:279-280, 2000.
(AGEは、βアミロイドタンパクによって誘導されるPC12細胞の脂質過酸化を抑制する)
要約
アルツハイマー病(AD)の確かな原因はまだわかっていないが、発病に際して脂質過酸化など酸化ストレスの役割を支持するエビデンスが多く、ベータアミロイドペプチドが決定的な役割を演じている。ベータアミロイド(Aβ)による脂質過酸化がADにおける神経細胞のダメージの有力な原因として支持されており、AD患者の脳内にAβ誘発の脂質過酸化物である4-HNEやMDA増加が確認されている。フリーラジカルスカベンジャーや抗酸化物質であるAGEが、4-HNEやMDAの生成を抑えるかどうか調べた結果、AGEがPC12細胞のAβの細胞毒性を減弱し、Aβで誘発される脂質過酸化の生成物である4-HNE-MDAを用量依存的に抑制した。これらのことは、AGEがADの治療戦略上、有力な候補物質となることを意味するものである。(ちなみに、日本では認知症のうちでも脳血管性認知症、レビー小体病と並んで多いタイプである。)